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FX自動取引のための時系列分析・信号処理・戦略ブログ

相場の状態が分かっている場合の取引戦略

前置き

FXにおいて相場の状態は大きく4つに分けられます。

  1. レンジ
  2. ゆるやかなトレンド
  3. 急なトレンド
  4. 急変(スパイク)

これらはどの時間軸で見るかによって変わってきますし、エントリーした直後から他の状態に移行することは多々あります。 本記事ではひとまず時間軸を固定し、現在の状態がなんらかの素晴らしいロジックによってわかっているとしたとき、どのような売買戦略をとるべきか考えていきます。

レンジ

レンジ相場(USD/JPY 1分足)

ある一定の価格を行ったり来たりする場合がレンジ相場となります。実際はこの画像のように行儀よく同じ幅で水平に推移することはめったにないです。この相場で利益を上げるには、高値で売り、安値で買うということを繰り返せばよさそうです。

戦略:ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンド(期間:20、標準偏差:2σ)

レンジ相場であることが分かっている場合、上記画像のようにボリンジャーバンドを用いた逆張り戦略がよく機能します。上側のバンドにタッチしたら売り、下側のバンドにタッチしたら買い、という非常にシンプルな戦略です。

ゆるやかなトレンド

ゆるやかなトレンド(USD/JPY 1分足)

価格が行ったり来たりするものの、トータルでは上昇または下降のトレンドを持つ場合です。このような場合にはトレンドに逆らう向きには取引を手控えた方がよさそうです。また、頻繁に売買せずにしばらくトレンド方向に保持するというのもありです。

戦略:CCI(Commonly Channel Index)

CCI(期間:14)

ゆるやかなトレンドの方向が分かっている場合、CCIを使った戦略が機能します。トレンドの向きにポジションを持つシグナルは、CCIが100(-100)にタッチしたとき、イグジットシグナルは200(-200)にタッチしたときです。

急なトレンド

急なトレンド(USD/JPY 1分足)

2023年のUSD/JPYでは上記のように短い期間で1方向に大きく値動きすることがしばしばありました。値幅が大きく1方向に継続するためぜひとも収益につなげたい局面です。このような場合はトレンドの開始から終わりまでポジションを持ち続ける戦略が機能します。

戦略:SMA(Simple Moving Average)

SMA(期間:20)、ADX(期間:14)

SMAは最も単純な移動平均です。移動平均にはEMAやWMAなど色んな種類がありますが、多くの場合SMAで十分機能すると個人的には思っています。SMAを終値が上から下にクロスした場合に売りエントリー、下から上にクロスした場合に買いエントリーします。逆にクロスした時刻でイグジットします。

戦略:ADX(Average Directional Index)

ADXADX、+DI、-DIという3つの指標から成り立ちます。+DIが-DIを上向きにクロスすると上昇トレンド、下向きにクロスすると下降トレンドの開始を示唆します。上記画像では、+DIが-DIを下回る時刻はSMAの場合とほとんど一致しています。+DIと-DIがクロスする地点でエントリーし、再度逆にクロスする地点でイグジットします。

急変(スパイク)

急変(USD/JPY 1分足)

めったにないですが、多くのトレーダーを悩ませ、あるいは調子に乗らせる急変(スパイク)があります。1円以上の値動きが1分以内に起こるため、裁量でこの値幅を取るのは難しいですし、底と思ったところからさらに値下がりして大きな損を抱えてしまう可能性もあります。自動取引であれば、この急変を利益に変えられる可能性があります。

戦略:SMA & トレーリングストップ

SMAをクロスしたところでエントリーするのは急なトレンドの際と同じです。1分以内の変動のため、次のSMAクロスのイグジットまで待っていると収益機会を逃すことになります。そこで、トレーリングストップを用います。自動取引であればTick到達のたびにストップロスの位置を現在の終値から一定距離離したところに追従させることができ、急変から利益を得ることが可能です。

あとがき

本記事では、相場を4つの状態に分け、どの状態か分かっている前提で取引戦略を考えました。しかし、実際にはタイプは明確に分けられるわけでもなく、気が付いたときにはすでに別の状態に移行しているものです。そのため、紹介した4つのタイプについての戦略どれか一つだけで運用していると他の状態で損を積み重ねたり、大きく損をしてしまうことがほとんどです。他の状態に移ることを事前に予測できればよいのですが、今のところそれはほぼ不可能です。しかしながら、「事前」ではなく状態が移った「早い段階で」状態把握をすることには一縷の望みがありそうです。本ブログでは基本的にはランダムウォークであるはずのFX相場のうちの、予測可能性のあるわずかな部分を見つけ出し、再現性のある自動取引システムを構築するのを最終目的にしたいと思います。

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ブログ主はMQL5を用いたインディケーターやEA(Expert Advisor)を100個以上製作したことがあり、アイデアを素早く動く形で提供することができます。MetaTrader 5を用いて自動取引をしたいと考えている方は(https://twitter.com/__chaploud__)までDMでご連絡ください。